人が亡くなったときには、相続の手続きも必要になります。
人それぞれ、残された状況が違います。
場合別に、どんな事があるのか?
見ていきましょう。
遺言がある場合
遺言がある場合、遺言に書いてある通りの分割方法で財産を分けることになります。
自筆証書遺言で、遺言書保管制度を利用していない場合、検認が必要になります。検認は家庭裁判所で行われる遺言のチェック手続きです。相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
検認を経た後、検認済証明書を取得し、遺言に添付して各種相続手続きに使用することになります。
公正証書遺言や自筆証書遺言でも遺言書保管制度を利用している場合には、検認手続きは不要です。
多くの遺言には、遺言執行者が定められています。遺言執行者が定められている場合、遺産は遺言執行者が管理することになり、各種名義書き換え手続きも基本的には遺言執行者が行うことになります。
遺言執行者が定められていない場合には、相続人全員が遺言の執行を行うことになりますが、家庭裁判所に対して、遺言執行者の選任を求めることもできます。
遺言がない場合
遺言がない場合、遺産分割協議を行い、各相続人の取得分を決定することになります。法定相続分での分割の場合、遺産分割協議は不要です。
戸籍の収集
遺産分割協議の前提として、相続人を特定する必要があります。従って、相続手続きは、戸籍等の収集からスタートすることになります。相続手続きに必要な戸籍は、被相続人の出生から死亡までの戸籍全てと相続人の現在の戸籍(銀行によっては不要な場合あり)です。
以前は、転籍している場合や親の本籍と被相続人の本籍などが違うような場合には、複数の市区町村に戸籍を請求する必要がありましたが、2024年から戸籍の広域交付の制度が開始されたので、全国どこの市区町村の窓口でも一度の全ての戸籍が取れるようになりました(一部例外あり)。
不動産がある場合
不動産がある場合には、不動産の所在地を管轄する法務局に登記申請(不動産の名義書き換え手続き)をすることになります。戸籍のほか、遺産分割協議書、印鑑証明書の添付等が必要です。法定相続分で分割する場合を除き、必ず、遺産分割協議書と印鑑証明書の添付が必要です。
銀行預金がある場合
銀行預金がある場合、各金融機関に連絡をしたうえで、相続手続きを行うことになります。この連絡をすると銀行口座が凍結されるので、注意が必要です。
基本的には窓口に出向いて手続きをする必要がありますが、郵送で可能な金融機関もあります。
銀行の手続きの場合、銀行所定の用紙に相続人全員が署名をし、実印で捺印をすれば、遺産分割協議書の添付は不要です。ただし、不動産登記と異なり、法定相続分で分割するときも相続人全員の印鑑証明書の添付が必要です。
有価証券がある場合
株式や投資信託がある場合、預りのある証券会社に連絡をして手続きをします。通常は、預りのある証券会社に、相続人名義の口座を作って、そこに振り替える形で相続手続きを行います。
遺産整理業務受任者や遺言執行者が換価して分割する場合、特定口座での売却が出来ないので注意が必要です。遺産整理業務受任者や遺言執行者名義で特定口座を持つことは出来ないからです。このような場合、確定申告をする必要が生じる可能性があるので注意が必要です。
※非上場株の場合、遺産分割協議により、承継者を決め、会社に連絡をします。上場株とは扱いがかなり異なるので、ここでは説明を割愛します(個別にご相談ください)。
著作権がある場合
著作権がある場合、それを管理している出版社に連絡をします。出版社の内規により、遺産分割協議書の提示を求められることもありますが、基本的には、遺産分割協議書は不要で、出版社所定の「承継書」等を差し入れるだけで手続きが出来ます。
借地権の場合
借地権も相続対象財産です。引き継ぐ相続人を決定し、賃貸人に連絡をします。被相続人は
賃借人の地位をそのまま引き継ぐので、新規の契約は不要ですし、譲渡承諾を得る必要もないです(当然、承諾料も発生しません)。
相続の手続き 遺言がある場合等
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